COVID-19禍にあるクリスマス ― 困難の中を生きる私たちの世界に、救い主イエス・キリストはお生まれになった

COVID-19禍にあるクリスマス

― 困難の中を生きる私たちの世界に、救い主イエス・キリストはお生まれになったー

日本CLC 教会助言者 萱場 基

2020年、世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威の中にありました。その脅威は今に至るも終息の気配を見せていません。

四旬節が始まった途端に政府の緊急事態宣言発動によって外出が制限され、感染のリスクを避けて、ミサにあずかることも断念せざるを得ませんでした。今年の復活節は、教会に集まってお祝いすることもできませんでした。教会のミサにあずかるために、様々な制限による不自由が続いています。このような厳しい状況に直面しながら今、私たちは待降節を過ごし、主イエス・キリストのご降誕を迎えようとしています。

しかし、このような状況の中で、神は人類を救うみ業を途絶えることなく続けておられます。

ロヨラの聖イグナチオは霊操の祈りの中で、イエス・キリストのご降誕を祈る初めに次のことを観想するように招いています。「神の三つのペルソナが人々で満ちた地球の全面を眺め、そして、人々が皆地獄に落ちるのをご覧になり、人類を救うために第二のペルソナが人間となることを永遠から決められたことである。そして、時が満ち、天使ガブリエルを聖母のもとに遣わされた様子を観想する」(霊操102)。

12月8 日、無原罪の聖マリアの祭日のミサで読まれる福音に、「時が満ち、天使ガブリエルが聖母のもとに遣わされた様子」が描かれています。そして、ミサの集会祈願の中で次の一節が唱えられます。「・・・。聖マリアの取り次ぎを求めて祈ります。御子の十字架の恵みによって、聖マリアがすべての汚れを免れたように、私たちも清いものとなり、あなたのもとに近づくことができますように」。

世界が、そして私たちが直面しているCOVID-19という苦難の十字架を、御子イエス・キリストは私たちとともに担ってくださっています。この御子の十字架の恵みによって、私たちが、そして世界が生かされていきますように願いたいと思います。

主イエス・キリストのご降誕を迎えるこの大切な時季に、祈りをいっそう深めていきましょう。一日の初めに、神と、そして自分が出会う人々に、今日の私をささげましょう。そして、一日を終える前に、CLCが大切にしてきた振り返り(究明)を丁寧に行いましょう。出会った人々と神に「ありがとう」と感謝し、至らなさや罪を「ごめんなさい」とお詫びし、受けた傷を神に癒やしていただき、明日も神が私とともにいてくださるように「よろしくおねがいします」と私の願いをお伝えしましょう。

フランシスコ教皇様の全世界の人々のためのお祈りの言葉を思い出しましょう。

「皆さんのために祈ります。父なる神が皆さんを祝福し、その愛で満たし、この道を歩む皆さんを守ってくださいますように。挫けずに立ち続け、失望せずにいられる力、希望する力を与えてくださいますように」

困難の中にあっても、希望と喜びに輝くイエス・キリストの降誕節と新しい年2021年を、CLCの仲間の皆さんがお迎えになられますように。

2021年5月31日

これからのCLCとイエズス会総長からの手紙

 

小暮康久(CLC教会助言者)

2019年2月10日、鎌倉黙想の家での日本CLC総会において、新しい代表世話人として佐無田靖さんが選出されました。まずはこの2年間、代表世話人として日本CLCのために多大な献身をされ、またCLC未体験の何も分からない新EAの私をここまで支えて下さった鈴木隆さんに心からの感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

今回の代表世話人選出では、私はプロセスパーソンとして、2日目の午後一から沈黙での夕食をはさんでの4回に及んだ投票の全プロセスに同伴いたしました。全体を振り返る中で、今回の代表世話人選出のプロセス全体の中で確かに聖霊が働かれていたこと、そしてその聖霊の働きを日本CLCとして共同識別する体験ができたことを、大きな恵みとして感じています。

今回は連休を含めて総会に3日間の時間を取ることができました。そのために、2日目午後の投票の前の午前中を使って、共同識別のための準備をすることができたことがとてもよかったと感じています。準備とは、「代表世話人の選出というプロセスが、日本CLCとしての共同の霊的な識別であることの確認」です。日本CLCとしての共同の霊的な識別とは、言い換えれば、神が、わたしたち日本CLCに何を望み、どこに導こうとされているのかを聴くということです。そしてそのために神が誰を代表世話人としての奉仕に招いておられるのかを聴くということです。代表世話人の選出は、投票者がそれぞれのわたしの好み、よいと思う人を選び、それを多数決で決めるということではないということです。“神が、わたしたち(日本CLC)を、どこに導こうとされているのかを聴く”この観点だけが、共同の霊的な識別を可能にするからです。この観点を大切にしながら積みかさねられた祈りと分かち合いのプロセス全体を通して、参加者一人一人が、“わたしの好み、よい”に傾き、動かさそうになっている自分の姿に気づき、 “神が、わたしたち(日本CLC)をどこに導こうとされているのか”にもう一度より深く耳を澄ませ、それを受け取って(聴き取って)いくのを感じました。つまり共同の霊的な識別を体験していくプロセスをはっきりと感じたのです。それは、実際にこのプロセスに参加された一人一人が感じておられることと思います。

この日本CLC総会と時を同じくする頃、2019年2月19日付けで、イエズス会のアルトゥーロ・ソーサ総長から一つの手紙が出されました。「普遍的使徒的優先課題」 (Universal Apostolic Preferences)という名前のその手紙には、これからのイエズス会の最も大切な優先課題として、次の4つのことが明言されていました。『①識別と霊操を促進する ②排除された人々と共に歩む ③ともに暮らす家である地球とすべての被造物のために働く ④若者と共に歩む。』 総長はこれからのイエズス会の優先課題の最初に、①“霊操と識別を通して、神様との親しさへの道をもっとこの世界の人々に示していくこと”の大切さをあげたのです。しかし、この4つの優先課題は別々のものということではなくて、むしろ聖霊の導きの下で、わたしたちが真に霊的な識別をしていく中で実現されていくものでもあります。

2020年4月18日