2021年 代表世話人からのメーセージ 「イグナチオ年を迎えるに当たって」 イグナチオ年を迎えるに当たって

2021年 代表世話人からのメーセージ


「イグナチオ年を迎えるに当たって」 イグナチオ年を迎えるに当たって

日本CLC  LC  代表世話人佐無田 靖

2019年2月の総会で代表世話人に選ばれて、早くも2年を越える年月が流れました。

「仕える者になりなさい」(マタイ23・11)を心に留めて、毎日を過ごしています。

当初、日本CLCの2年間の方向性として「社会、特に教会において、小さくても良いのでメンバーひとりひとりが霊的なことを伝えていく」こと、そして3つの課題として  ①コミュニティ(ライフコミュニティ)の見直し、②メンバーへの霊操の提供と霊的同伴者の育成、③若者への呼びかけを掲げ、船出したことを思い出します。その後、2020年に入り、コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックが始まり、今日に至るまで1波から4波の感染者の増加、政府から出された3回の緊急事態宣言を経験し、大都市から地方都市への感染者の増加が進み、未だ終わりの見えない日々が続いています。

私たちは教会でのミサが徐々に奪われ、対面での例会の分かち合いができないこととなり、さらに総会を開くこともできない状況で、暫定的に代表世話人の任期を伸ばし、皆さんと会えることを望みとして奉仕を続けています。その中で、オンラインでの分かち合いというかたちが手探りながら見えてきました。(当時EAだった)小暮神父様から、オーストラリアでは国土が広いこともあり、オンラインでの分かち合いや面談が行われていることを聞き、ZOOMに契約をし、いろいろな集いを試験的に行ってきました。対面での分かち合いに及ばないにしても、分かち合いを大事にしてきた私たちには対面に変わる手段として有用なことが、いろいろな集いの中で見えてきました。また利点として、今までは現地に赴かなければできなかった分かち合いができることもわかってきました。それによって日本だけでなく、世界のCLCメンバーとの接点も見えてきています。

 

さて、5月23日は聖霊降臨の祝日に当たります。私たちはCOVID-19パンデミックを意識した聖霊の働きを感じることになると思います。そして、皆さんもご存じだと思いますが、5月20日から「イグナチオ年」が始まり、来年の聖イグナチオの祝日である7月31日まで続きます。

今から500年前の1521年、イグナチオが26歳の時、パンプローナの戦いで、一発の砲弾が彼の脹(ふく)ら脛(はぎ)に当たり、片足は完全に折れ、さらに、弾丸が両足の間を突き抜けため、他の脹(ふく)ら脛(はぎ)も重傷を負ったその日から、すべては始まりました。その後、イグナチオはロヨラに運ばれ、幾度も厳しい手術を受け、生死をさまよい、そして、その療養の中で「世俗的なことは、これを考えている間は大きな楽しみを感じたが、それに飽きて止めてしまうと、うら寂しい感じがして不満が襲ってきた。ところが、裸足でエルサレムに巡礼するとか、野菜の他は何も食べないとか、聖人伝で見たいろいろな苦業をしようと思ったりすると、それを考えている間、慰めを覚えるだけでなく、考えを止めた後までも満足感と喜びが残った。・・・こうして、少しずつではあったが、自分を動かす神と悪霊の二つの霊をわきまえるようになった。」(自叙伝8)この違いに気づいたことが彼の回心の始まりであり、霊操に出てくる霊動弁別(識別、選定)の芽生えと言われています。そして、私たちはイグナチオ年にこの出来事を記念します。

イグナチオにとってそうであったように、「中断された時間」は過去を振り返り、自分が誰であるか、何を与えられたか、どこで道を踏み外したかを、感謝を持って思い起こすために大切な時間でしょう。この時間は人生の中で、変化と転換のためのきっかけとなる時です。病気、結婚や仕事の失敗、大きな失望や裏切りなど、私たちの誰もが自分の時間を中断されるような経験をしたことがあるでしょう。昨年から続いているCOVID-19パンデミックによって、今、私たちは自分自身の意志とは関係なく、この「中断された時間」を味わっています。ちょうど、心の中で感じているある種の緊張感や危機感を、自分自身の変化に代えて見直していく大切さを、神からいただいているような気がしています。

 

イグナチオの回心は「イエスにおいてすべてを新しく見る(イエスの眼差しで見る)」ということです。神はイグナチオのようなやり方で世界を抱きしめるよう招いています。そして、いろいろなことに気づき、分かち合い、行動することを望まれています。現在のCOVID-19パンデミックの期間は、信仰生活を振り返り、日常生活の祈りの中で気づきや活動を観想する良い機会であり、今後にむけた準備の時のような気がします。そして、このことはイグナチオの霊性を社会や教会に持ち帰っていくことにつながると思います。

私たち執行委員会(要CLC)は皆さんに3つのことを提案します。これらについての分かち合いを進めていく予定です。小コミュニティでも例会のテーマとしてください。

  • 『イエスの好み*』を身近で具体的なものとして探しましょう。(例えば、祈り、霊操、貧しくされ人々、排除された人々、弱くされた人々、若者、生命、地球など)

* イエズス会は2019年に「使徒職全体の方向付け」を打ち出しました。(www.jesuits-japan.org/uap)

これを英語では Universal Apostolic Preferences ということから、私たちは「イエスの好み」と意訳して、自分たちの生活を振り返る助けにしたいと考えています。

  • 『恵み(イエスの望み)のリスト』を作りましょう。(Should からWant へ)
  • DSSEを意識しましょう。(識別し(Discern)、決断し、行動へと送り出し(Send)、行動を支援し(Support)、継続的に評価する(Evaluate)コミュニティのあり方)

 

今年になって、執行委員会(要CLC) はこれからの日本CLCのビジョンとして、①霊操・識別②養成(初期養成、中期養成)③新しい日本CLCの仕組みについて、分かち合いを重ねています。これらのことは、前代表世話人の鈴木隆さんがかつてCLC通信に掲載された内容の継承となります。

  • 霊操・識別については、私たちCLCメンバーの木の幹をなす大切なものです。メンバーのすべてが、一度は時間を作って霊操の全行程を歩むことを望みます。日常生活の霊操ができるように、永久誓約者の同伴者としての育成を考え、その機会として「34週祈りの旅」を準備しました。集中霊操は霊性センターせせらぎ等の企画を活用してください。
  • 養成については、初期養成としてコミュニティづくりの研修会と分かち合い、そして気づきのエクササイズ(意識の究明)を、中期養成としては日常生活の霊操(34週祈りの旅)を進めています。
  • 新しい日本CLCの仕組みについてですが、現在、日本CLC には事務局がありません。このことにより、近年の日本社会ではとても難しい現実が出てきています。まずは名簿の整理、会費、会計、広報(内外)等の整備から進めています。

 

また、対面の分かち合いや集いができない状況ですので、オンラインをフル活用して、対面に代わる関わり方を進めることとしました。養成の集い、地区大会、全国大会、地区及び全国の世話人会(総会とは別に)などをメンバーみんなで企画して進めたいと思っています。ITに慣れない人たちには不便をかけることとなりますが、メンバーひとりひとりの協力を仰ぎながら、できるだけ皆さんが集える機会を作っていきたいと思っています。

 

最後に、主イエスが復活して弟子たちに現れたとき、「皆さんに平和があるように」と言われたことを思い出し、皆さんと対面でお会いできることを楽しみに待ちたいと思います。

いつも主イエスが共にいてくださることを忘れぬように!

(2021年5月20日)

 

2021年5月31日

「仕える者になりなさい」(マタイ23・11)

 

社会、特に教会(小教区)において小さくても良いので一人ひとりのメンバーが霊的なところを伝えていこう!

日本CLC 新代表世話人 佐無田 靖

今年の2月の日本CLC総会で代表世話人に選出された佐無田 靖です。

現在、EA小暮神父様、補佐である岡田芳明・友季子夫妻、ボスコ(張晋華)さん、佐無田夫婦の6名で集まりを持ち始めたところです。

旧代表世話人の隆さん、小暮神父様からの総会で報告があった2年間のふりかえりと次期への課題をもとに、3月より分かち合いを続けているところです。

また、3月末に広島、山口、北九州のコミュニティを廻ってきました。これから皆さんのコミュニティへ出向いて、分かち合いながら、神が望んでおられる日本CLCを考えていきたいと思っています。また、要CLC(執行委員会<以下省略>)に皆さんを短期に長期に招いて進めていく予定ですのでその際はよろしくお願いします。

まずは少し、私のことを知ってもらうために分かち合いをしたいと思います。

熊本県人吉市出身で63歳になります。幼児洗礼で高校卒業まではそこで暮らし、その後、上京し、大学卒業後、香料会社に入社し、サラリーマンをしていました。仕事は食品の香りを創造する調香師(フレーバーリスト)として40年余り務め、退職し、今はフリーでコンサルタント的に主に日本、韓国、中国の若い調香師たちの養成の仕事をしています。30歳の時に結婚し、3名の子供に恵まれ、皆成長し、今は2匹の犬たちとともに毎日を過ごしています。

CLCとの出会いは30歳の頃、エド(ネメシュ神父様)に助けられたのがきっかけです。現在はTIMECLCをライフコミュニティとして例会を続けています。

私はCLC的な生き方をサラリーマン社会の中で、どう証しするかが神から与えられた課題だったように思っています。忙しい毎日の中でどう祈れば良いのか、また、会社での人との関わりの中で堪えられないことが幾度もあり、悩み、神にすがり、乗り越えてきたことです。

日々の霊操の誘いを受け、通勤時間帯を使って祈り、仕事の合間を見て毎週同伴者と面接をし、霊操のダイナニズムを味わわせてもらいました。そして、退職後、30日間の霊操の機会をいただきました。その十字架上のイエスに向かう祈りの中で、神に「これまでの自分の60年間の善いことも悪いことも、全ての人としての執着を差し出せ」と言われ、それを捧げた途端に、今まで持っていた「闇」も全て洗い流されて、清々しい自分を感じました。これで終わりかと思うとイエスが復活後、弟子たちとともにイエスを待っているのに現れてくれません。焦る気持ちもありましたがかなりの時間、待ち続けました。イエスが「あなたがたに平和があるように」(ルカ24・36、ヨハネ20・19)と現れてくださった時の喜びは今でも忘れられません。もうすでに1年以上経過していますがその気持ちを持ち続けられていますし、「どんな時でもイエスとともにいる」という実感を再確認しました。神様はすごいなあという気持ちです。

今回の総会の選挙も、実際に投票を始める直前まで、選ばれるという感じはなく、共同識別の中で聖霊に後ろから押される感じを受けたことだけを覚えています。私はこの共同識別の中で代表世話人というのは日本CLCのリーダーではなく、むしろ、「仕える者になりなさい」(マタイ23・11)と神に告げられたと感じがしています。この前の6〜7年間の経験は「イエスに仕えるため」の準備だったのかもしれません。

次に新要CLC(新執行委員会)としての2年間の方向性についての考えを述べさせていただきます。

(1)日本CLCの2年間の方向性(方針)

日本CLCのメンバー一人ひとりのミッションの方向性(方針)として、「社会、特に教会(小教区)において小さくても良いので一人ひとりのメンバーが霊的なところを伝えていく」を掲げたいと思います

今の日本社会は教会(小教区)において、多くの人が乾き、いわゆる霊的なものへ乾きを感じています。教会の活動の根源が神から来ていること、それによって慰めがあることを感じさせるように働きたいのです。ただ、日本の教会の現状は教区や教区内でのそれぞれの小教区でも一辺倒ではなく、CLCを名乗りながら、進めていくことの難しさを感じています。霊的なところをと伝えていくことができるところはできる方法で、できないところは小教区の一員として、また、イエズス会や修道会の助けとなって、一人ひとりのメンバーが意識して、また霊的になって歩むことでそれを伝え、感じさせてもらえることを信じます。

(2)日本CLC内の三つの課題

①コミュニティ(ライフコミュニティ)の見直し

総会でのふりかえりの中でコミュニティへのコミットメントのアンバランス、コミュニティ内でのメンバーの養成、総会の在り方等のテクニカルな課題が挙げられました。

その中でまず、私たちがコミュニティを通じて生活の中でどう神と関わっているか、霊操的な祈りがどのように入り込んでいるかを再度見直してほしいと思います。

また、一人ひとりがしっかりと信頼して分かち合える場としてのライフコミュニティを持っているか、また、小コミュニティをそういう場にしているか、サービスコミュニティとの区別がついているかについても見直してもらいたいと思っています。

そのために、最優先課題として、「例会の手引き」の見直しを進めていく予定です。その中に識別や意識の究明等の霊操的な部分をきちんと織りこんでいきたいと考えています。また、それに沿って、2011年に出されたガイドの手引きもそれに合わせてより活きたものへ変えて行きたいと思います。さらにそれを使って、永久誓約者を中心としたエリアごとのガイドの養成につなげていければと思います。

②メンバーへの霊操の機会提供および霊的同伴者の養成

一人ひとりのメンバーが霊操は意識して、その祈りを続けていると確信しています。CLCの8日間の霊操、日常生活の霊操、9ステップの3ヶ月間の霊操の機会を皆さんにできるだけ多く提供することが必要と考えています。2020年はEAと相談しながら企画して行く予定です。

また、イエズス会の力を借りて、同伴者の養成も永久誓約者を中心にCLCのメンバー同士で同伴ができるように成長することを望みます。当面の養成はせせらぎ研修会の参加を呼びかけます。

③若者(30代まで)への呼びかけ

小暮神父様が総会時に話されたようにキリスト者として使徒的継承を意識しながら、社会、教会、イエズス会(Magisへの協力)、CLCの中などの派遣されたところで、特に深く分かち合うことのできるコミュニティ作りを中心において、若い人たちに霊的なものを伝えて行くことを意識して進めたいと思います。

(3)日本CLCの活動を進めて行く中でのミッション

ミッションにはCLC内部と外部とがあります。

特に日本CLC内部へのミッションを意識していただきたいと思います。この内部ミッションは要CLCが代わっても進められる体制を改めて考え直さなければならない時に来ています。

CLCメンバーでお互いに支えられるように、エリアに関係なく、皆さんの関心がある分野ごとにチームミニストリーの考えを導入し、早いうちに移行し、その中で内部のミッションを継続的に進めてもらおうかと考えています。当面、体制ができるまでは要CLCのメンバーが代行します。

次に日本CLCとして外部ミッションですが、現時点での共通のミッションは鎌倉黙想の家のみと考えています。それ以外の活動は、原則的には日本CLC共通のミッションとはせず、メンバーの活動を情報共有し、適宜協力していくこととします。また、中井神父・副EAが取り組んでおられる日韓の問題についてもCLCとして体験学習等で関わりながら支えていく予定です。

(4)永久誓約者の役割

永久誓約をすることによって、真のCLCのメンバーとなり、それはゴールではなく出発点としてイエスの使命を識別しながら、生きていくよう心がけることになります。これが永久誓約者です。それはライフコミュニティを超えて、より広いコミュニティに対して自分のできる貢献をしていきたいという望みを表明する(執行委員会などの役割分担、分担金等の納入、大会、地区集会、総会等の企画実行、世界コミュニティに積極的に参画)ということになります。このことをしっかりふりかえり見直しをしていただきたいと思っています。

また、永久誓約者の役割については父の家CLCを通じて、皆さんの意見をしっかり受け止め、今後のことを考えていきたいとも思います。

最後に私、代表世話人は日本CLCの「仕える者」として、歩むことを望んでいます。

その手始めとして、要CLCはエリアにこだわらず、北海道、東北、東京、横浜、静岡、大阪、広島、山口、北九州、長崎などの小コミュニティに出向いて分かち合いをしたいと考えています。また、そのために皆さんのいろいろな意見を寄せてください。よろしくお願いします。

 

2020年4月18日